特命教授 徳田 浩一
感染管理室は2000年7月に院内感染の予防と制御に関する専門部署として設置されました。2005年10月からは病院長直属となり、現在は感染制御医、感染管理認定看護師、検査技師、薬剤師、事務職員が在籍し、日々活動しています。私は平成29年10月に3代目の室長として任命されました。
活動としては、感染対策マニュアルの策定、薬剤耐性菌が検出された場合の当該部署への注意喚起と感染対策指導、各種サーベイランスの実施、院内ラウンド、アウトブレイク対応、職員教育、抗菌薬適正使用の推進など、多岐にわたっています。 また、ICT(インフェクションコントロールチーム)を結成し、さまざまな職種・部署と連携しながら院内感染対策のより一層の充実を目指して活動しています。
“易感染性宿主の増加”、“原因微生物の多様化”、“薬剤耐性菌の拡がり”そして、“感染症のグローバル化”などの要因により、全社会的に感染症のリスクは高まってきています。特に病院内では、患者の高齢化に加え、先進医療に伴うさまざまな医療用デバイスの使用や、免疫抑制剤の使用など、医原的要因による感染リスクが増大しています。そのため、院内感染対策は、より専門性を有した医療従事者でチームを編成し、チーム医療の一環として、また、施設全体のリスクマネジメント業務として実践していく必要があります。
近年、抗菌薬適正使用に向けた国の取り組み(薬剤耐性対策アクションプラン)が始まり、具体的な目標値を掲げて、すべての医療機関に積極的な対応が求められています。感染管理室では従来から現場の医師を支援して抗菌薬適正使用を推進してきましたが、あらたに多職種からなるAST(抗菌薬適正使用支援チーム)を立ち上げ、より良い感染症診療の実践を目指して活動を開始しました。
医療機関同士や高齢者施設など福祉施設との連携がますます盛んとなっていることから、院内感染を適切に予防・制御するためには、自施設内だけの対策では解決できない問題も増えてきています。私ども感染管理室は院内での活動はもとより、広く仙台市、宮城県、東北地域における感染制御・感染管理のキーステーションとしての役割を担っており、医学系研究科感染制御・検査診断学分野および総合感染症学分野とともに、“感染制御ネットワーク”を構築し、宮城県さらには東北地域において感染制御活動を実践しています。
感染対策の組織
感染管理室の役割
感染管理室のスタッフ
感染管理室の業務
1. 職業感染対策
- 小児ウイルス感染症抗体検査とワクチン接種(麻疹・水痘・流行性耳下腺 炎・風疹)
- B型肝炎ワクチン接種
- インフルエンザワクチン接種
- 針刺し切創、皮膚粘膜曝露対策
- 安全器材の導入と教育
- 結核発生時の濃厚接触職員への定期外健診の実施
2. サーベイランス
- 薬剤耐性菌サーベイランス
- 医療関連感染サーベイランス
- 抗菌薬サーベイランス(届出制、許可制も含む)
- 職業感染サーベイランス
3. ICTラウンドおよび全病棟ラウンド
ICTラウンド
4. 感染症コンサルテーション
薬剤耐性菌の対策
- 血液培養や髄液培養陽性時
- MRSAなどの薬剤耐性菌検出時
- Clostridium difficile toxin 検出時
- インフルエンザウイルスなどの検出時
- 抗酸菌(結核菌を含む)検出時
- 抗菌薬適正使用の推進
- 感染対策へのアドバイス
5. 感染対策教育
6. アウトブレイクの介入
7. 感染管理体制の構築
8. 地域ネットワーク(東北感染制御ネットワーク)の主催
感染症カンファレンス